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創作ごった煮
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時崎(ときざき)
椙田(すぎた)
ホモらくがき



「エロしりとりをやろう」
「なんだそれ、頭おかしく……元々か」
「エロしりとりは、エロさを感じるものでしりとりするんだ」
「ひとりしりとりしてろ」
「あっ、高校生男子の妄想にかかればどんな単語でもエロくなるから、制限として"それがテーマのAVを借りるかどうか"が基準な」
「やらねーっつーか、教室でする話でもねーし!」
「しりとり!ハイ!」
「だから、」
「罰ゲームありな」
「!……り、理科室」
「吊り革」
「わ……和装」
「植え込み」
「みー、御簾?」
「すだれ」
「れーれーれ、練習」
「嘘泣き」
「着替え」
「おっ慣れてきた?映画」
「学生」
「苺」
「イチゴ?」
「苺えろいだろ、今日買って試す?」
「お独りでどうぞ。ご、後妻……?」
「つれない!好き!椅子」
「すー、スーツ」
「積み木」
「キス」
「する!?」
「しね」
「生きる……うーん、スクリュー」
「り?ゆ?」
「ゆ」
「湯けむり」
「リクライニング」
「ぐ……グミ」
「ミラー」
「ら……ライブ?」
「部下」
「か、覚悟」
「ごみ掃除」
「それは……?」
「んっ聞きたい!?俺たちがさ、日曜にごみ掃除の課外活動に行くじゃん!?」
「聞きたくねーよお前の妄想なんて!」

「ところで、さっき先生が読んでたよ時崎」
「はー!?これからだぜ、イイトコロは!」
「邪魔して悪かったね」
「いや、ありがとう大山田」
「はあ、まあいいか。後ででも」
「俺もう帰るけどな」
「うちに?」
「お前んち知らねーしいかねーし早く行け」
「はいはい」



「まあ椙田の興奮する傾向聞けたし、満足」





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小話、掌編、散文詩。お好きによんでください。
追記にてタイトルをつけました。
Twitter公開時から多少変えています。




1
気遣い屋の彼女がフランスで掛け時計を買って送ってきたので、彼女が帰ってくるまでそれで彼女の過ごす時間を想像しようとしたのだけれど、市役所が鳴らす昼のチャイムと同時に時計から人形が現れて、手に持った小さな鐘を12度叩いた。



2
彼女は魔法のセールスをやっていて、購入特典の余りと言ってごみ箱を持ってきた。ゴミ出しの必要がなく、捨てたものは宇宙に行くという!ところで宇宙葬というのがあって、投げた灰は地球の周りを漂い、ときに大気圏にぶつかり流れ星になるらしい。今流れた星は、いったい昨日のサンマの骨だったのだろうか?



3
はらはらとまばらに拍手が散った。巨女の背から首を伸ばしてステージを見遣ると、垂れ幕から真っ赤な目をした小さなゾウが現れる。子象のあどけなさはなく、屹度あれが成象なのだろうけども、一頭きり調教師の腰の背の高さのそれが球に乗ろうが綱を渡ろうが盛り上がりに欠けるなとしか思わなかった。首に疲れを感じたが、元につけば巨女の背中のひだしか見えぬ。仕方なく階段を向くと、無限に段が続くように見えた。その段を登り豆粒ほどの姿から女に変わり来るのはポップコーン売りであった。一杯三百五十円のキャラメル味を購入し、ひとつ口に含むとばちばちと激しくはじけた。このようなのは星の欠片に違いなく、キャラメルと薄暗闇に騙されたと覚った。三百五十円の損をした。


4
「8月がとうとう終わるのだってさ」「なんだって」「明後日には鳥が来るらしい」「そりゃあ」背後の会話に首を傾げる。何もしなくとも8月なんて終わるし、9月は来る。無礼と知りつつもウィスキイに酔っ払った私はその会話に入るべく振り返った。「鳥が来るから8月が終わんのかい」「そうさ」応えたのは蛇であった。「そんなら」これはまずい、咄嗟に思うもアルコールが口を緩ませる。「そんなら俺が追い返してやるさ」背中に汗が伝っていた。鳥を追い返すことなんてのは容易いとわかっていた。蛇ばかりがなんともなくおそろしく静かである。蛇はからからと笑った。「我々の餌は鳥の卵だよ、君」


5
月の出る晩について尋ねると、彼女は丸い目をぱちりと瞬かせるだけだった。彼女の耳はゆるやかに大きい。「それよりもりんごのケーキはいかが?卵を上に乗せるのよ」茶色に割り乗せられたそれには卵黄がなかった。



6
母は星の砕いたのが入っているのだと言ったが、それは間違いなく月であるはずだった。原材料にはハッカ油と書いてあった。月とは雪の晩にはハッカの塊に似るのであるからして、確信を得るに至った。



7
十二時間式の時計が止まった際に指しているのはいつも夜であることは明白だ。なぜかと尋ねるならまず時というのは夜のためのものであると知っていなくてはいけない。「夜に時間なんか気にするやつがいるだろうか」「いいや、月ばかりだろう」



8
赤ん坊の足にそれぞれ二つずつ親指が付いているのを見て、母親は喜んだ。ベビーベッドは窓の側、つまり母親は悪魔か魔女が子の親指を取りに来ても一度の余裕があると感じたのである。しかして赤ん坊は暖炉に近づいて赤く焼けた火箸を掴んだのであった。



9
壁紙に花が咲いていないと不思議に思い、隣席で珈琲を啜る男に「おい。」と声をかけた。猫背の男を良く見ればソーダ水を隠す様に飲んで居る。仕立ての良いスーツはつまり警察官であろう。ならば尚更に伝えおくべきであると、そのことを告げると、男は顔を蒼白に染めた。ソーダ水は何時の間にやら赤く変わっていた。


10
例えるなら生の鶏皮に似ていた。やわらかく、弾力がある。見目形は粘土のようだった。それが現れたと同時に、世界が生々しさを失ったのである。色も匂いも何処か素っ気ない。どうやれば元に戻るか行きがかりの月に尋ねたら食せと投げやりに応えがあったが、どうも肉らしい様子なので、ベジタリアンの禁忌に触れやしないかと困り切っている。



11
今迄夜道を見張っていたそれらの代わりに、政府は真太陽灯の普及に努め始めた。一旦点けたならば、冬の朝焼けの如く辺りが白むのである。太陽と云うだけあって、真太陽灯の照光範囲は並のものではない。価格もべらぼうではなかったから、どうなったかって、販売会社はすぐに販売を中止した。



12
DNAの遺伝子ひとつまで自由になった昨今。病気なのだ、目の前の彼女の緑の肌も店員のピンクの瞳も。一時的なウイルス感染と、いつでも治せる治療薬に頼りきっている。「その色は、どうかな」「やっぱりちょっと濃かったな」そういうことじゃないんだが、しかし彼女は俺に興味が少ないのだから、俺が何を好もうと記憶にも残らないんだろう。



13
老人が透明な紙でもって障子の穴を塞ぐように月を貼り合わせているのを、名前の知らないカクテルを飲みながら見上げていた。カクテルは月と同じ浅葱色をしている。なんで月が破けたんだ。ひとりごちると、貼り合わされる前の月がコウモリの仕業だと言った。最近は、鍵穴にまでコウモリが棲む。



14
A氏の故郷では人形なんかを作ってはいけないらしい。「それはこどもだけですよ」否定するA氏の両手には人差し指がない。こどもの手は人形に命を与えるから、身長120センチ体重25キロを越えたときに指を落として能力を失わせるのだ。それでも指を落とす前に形作ってしまうこともある。彼の故郷では、いびつなトンボが夕空を飛んでいる。



15
大気圏目前にごみの集積場ができた。大気圏では燃えかすすら燃え尽きるから、埋めたてごみの日がなくなった。しかし質量保存の法則かなにかによってものが完全になくなることはないはずだから、今朝ごみに出した穴あき靴下もどうにか地上に帰ってくることだろう。



16
階段の、五段むこうに幽霊がいる。登りも降りも、きっかり五段あいだを開けてついてくる。六段しかない階段なら一瞬だけで、五段以下なら現れない。近寄ってきたこともない。ただ、五段むこうから、幽霊はこっちを見ている。



17
最近町におなじタトゥーを入れているひとが増えた。いわば、神の落款であるらしい。もちろん生き物すべてを神が手ずからつくるわけがなく、本物は生まれたときからそれが刻印されているのだ、犬であろうとネズミであろうと。「マスター、ぼくのマークは本物なんだよ」「今日だけで八人はそう言ったね。」






心ってどこにあると思う、一倉。
扇谷さんは二時間目に提出だった理科総合のテスト直しプリントをやっていて、私は委員会のプリントを折っていた。ふたりきりだった。委員会の相方は始業式に出たきり教室には来ていない。
彼女の席は私の三つ隣、二つ前で離れていたけれど、いつもよりふたつくらいキーの下がった声はよく聞こえた。
グループが違う彼女が、ふたりきりとはいえ話しかけてくるなんて思っていなかったから、ぱちくりと目を瞬かせるしかできない。扇谷さんは振り返らずに、細い紫かピンクのペンを動かしている。
「こころ?」
「そう。どこにあると思う」
いつもの高い上ずった声より、こっちの方がずっといいな。少し責めるみたいに、投げやりな口調が、彼女の本性だろうか。
ああ、でも、前に彼女が弟と話していたときは、もっと楽しそうだった気がする。どうでもいい、だけだろうか。
「脳、とか?」
われながら、つまらない答えだ。扇谷さんはペンを止めないし、私もプリントをまた折り始める。
扇谷さんは、だよね、と軽い同意をした。
「あたしは、お腹にあると思うんだ。なんか話すときって、脳から、一度お腹を通ってる気がする。肺じゃなくて、胃に近くて、みぞおちの辺りの」
「おなか」
「ヘンかな」
どうだろう。だって正解は知らない。
愛も正義も幸せも、形のないもの代表格が「人それぞれ」で「正解はない」んだから、こころも同じようにどこにあるかわからないものなんじゃないのかな。わら半紙に安いインクの指紋が残って、反射的にこすったけれど消えない。
扇谷さんのテストの点は、何点だったんだろう。あといくつ直す問題があるんだろう。
「悲しいとき、すごくね、そういうときって、その辺り痛くなるよね」
ピンクみたいな紫のペンのキャップをしめたのが見えて、思わずそう言った。
思う、気がする、思わず。思わず言った言葉には、こころがあるだろうか。
扇谷さんは、ペンケースから、黄緑色のペンを出す。相変わらず細いペン。一度だけ同じものが私のペンケースにも入ってたけど、すぐにインクが詰まって使えなくなった、かわいくて安いだけのペン。
「泣いたときとか?」
「泣いたとき、うーん、違うかも。悲しいじゃなくて、もっと、辛いかんじ」
「あはは。わかってる、てかわかるし」
そうだね、その辺りかもしんない。扇谷さんが、そういうふうに、声だけで笑うのを初めて聞いた。
顔が見たいな、と思った。思ったのは脳だった。三つ隣で二つ前の席の顔は見えない。
もし、もしもこころがほんとにその辺りにあるなら、思考にきっとこころはないんだろう。誰が傷ついても、思考の中なら構わないって皆が思っている。口に出す前に、ようやくこころのフィルターを通すのだ。
指が真っ黒になって、プリントは残り一枚になっていた。扇谷さんはペンを止めなかった。最後の一枚を、端と端を綺麗にあわせて、ゆっくりと折っていく。
お腹のまんなかにこころがある。
そう言われれば、そんな気もした。体を丸めたときのいちばん内側。傷つかないように膝を抱えたときに、守る位置だ。
折り終えたプリントを、綺麗に重ねて持ち上げた。ペンはまたピンクみたいな紫色になっていた。





なんでもいいならそう言ってくれないかと頼んでも、なんでもいいのとは違うと言って譲らない。面倒なおとこだった。一度そう言っておいて、後から文句をつけてくる方がよほど楽だ。そちらなら、選択肢を減らし、妥協点を探すことができるのに。
彼はおとこらしいというのにやたらとこだわっていた。
それでも優柔不断な質はどうにもできないようで、悩んで悩んで、ひとつばかりの結論を持ちたがった。曖昧さを嫌った、彼のいうおとこらしさを、その性分を、おれもきっと好きだった。どうでもいいことを持ちたくなくて、余すところなく考えたいという責任感。
おれはその選択肢が、すべてだめになるまで悩めばいいと思っている。
どれかひとつに決める前にすべてがなくなったら、おれしか選べなくなるだろうと信じている。
けれど、彼の選択肢はいつだって増えていった。おれはもう選んだけれど、彼は悩みつづけている。死んだ選択肢の代わりに生まれた選択肢がある。
おれは、彼がなにかを選ぶまできっとその選択肢から消えられない。選んだ望みを変えられない。なのに、それが、ひどく、






小金みずきは溶けるものが苦手だった。
たとえば、技術の授業で使ったハンダ。見ていられなくて薄目で作業したら手に火傷を負った。たとえば、理科の授業。過酸化水素水に二酸化マンガンを入れて酸素を発生させるよりも、他の生徒には大不評だったカンヅメの鶏の頭を解剖するほうがずっとマシだった。鶏の頭はグロテスクなだけでなく、ひどいにおいがしていた。けれどみずきには、溶けるものを見るより断然ましに感じた。
どれだけ記憶をさかのぼってみても、溶けることに関するトラウマは見つからない。家族親戚にも心当たりはないという。アイスクリームが溶けるのすら怖いのだ、きっと何かあるはず。

ある夏の日、用水路の低い水路から覗くアメリカザリガニを見ていると、交通整理をしていたおじさんが声をかけてきた。平日の昼間、細い道で車もない。暇だったのだろう。しかしそれは天啓にも似ていた。
黄色いヘルメットで汗にまみれたおじさんは、私が見ている苔に隠れたザリガニを見逃して、もうひとつ手前のクモを見咎めた。アメリカザリガニはわかるけれど、よく見るこの黄色っぽいクモがなんというのかは知らない。小さい葉やほこりをつけて、クモはじっと待っていた。
クモが、捕まえた獲物をどうするか知っている?
おじさんが言う。食べるのでしょう。どうやって食べるのかだよ。
知らない、と答えると、見て、と毛深くて黒い指先がクモの巣の一部を指した。ほこりかと思ったら、それはクモの糸がまるまったものだった。
これが獲物。クモは、獲物を糸でぐるぐると巻いて、どろどろに溶かして飲み干すんだ。クモの口は小さいだろう。
短く切りそろえられた爪の間には黒い土が入っている。白っぽいアメリカザリガニは、もしかしたら死んでいるのかもしれない。クモは糸の塊に近づかなかった。私は幼虫が蛹の中で溶けているのを想像して、それから、溶けていくのが怖いんじゃなかった、と気づいた。
狭い道をさらに狭くしている工事現場の向こうに、通りたがっている車が見えて、おじさんはピカピカ光る棒を片手に行ってしまった。
ハンダも二酸化マンガンもアイスも、溶かしたのは私である。









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