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創作ごった煮
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なんでもいいならそう言ってくれないかと頼んでも、なんでもいいのとは違うと言って譲らない。面倒なおとこだった。一度そう言っておいて、後から文句をつけてくる方がよほど楽だ。そちらなら、選択肢を減らし、妥協点を探すことができるのに。
彼はおとこらしいというのにやたらとこだわっていた。
それでも優柔不断な質はどうにもできないようで、悩んで悩んで、ひとつばかりの結論を持ちたがった。曖昧さを嫌った、彼のいうおとこらしさを、その性分を、おれもきっと好きだった。どうでもいいことを持ちたくなくて、余すところなく考えたいという責任感。
おれはその選択肢が、すべてだめになるまで悩めばいいと思っている。
どれかひとつに決める前にすべてがなくなったら、おれしか選べなくなるだろうと信じている。
けれど、彼の選択肢はいつだって増えていった。おれはもう選んだけれど、彼は悩みつづけている。死んだ選択肢の代わりに生まれた選択肢がある。
おれは、彼がなにかを選ぶまできっとその選択肢から消えられない。選んだ望みを変えられない。なのに、それが、ひどく、


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