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創作ごった煮
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RT シラキが誰かを見下して「…あんたといると、胸がざわざわして、辛くなるんだ」と言う空回りの話を6RTされたらかいてください。 http://t.co/0xeGUkIb #selifodaii

10月17日に書いてわすれてたもの


***



幼稚園のころから、いけすかないヤツだった。
勉強も体育も人並みよりできて、でも友達は居ない。
誰もいないところに話しかけたり、穴を掘るでもなくシャベルで地面を突き刺していたり。
寂しい奴だ、と、かわいそうに思って話しかけてやっても、返事はうわのそら。
二人組の授業ではいつも一人で、さみしいとか変だとか感じてすらいないようだった。

「おい、シラキ!」

今日も、声をかける。
シラキはいつも学区のはずれの公園に居る。一人でしゃがんでいたり、ベンチに座って独り言を言っていたりだ。
かわいそうなシラキに、おれは、話しかけてやるのだ。
シラキはしゃがんでいたところから顔をあげて、おれを見て、また伏せた。シラキはしゃべらない。今日シラキがしゃべったのは、国語の回し読みのときと、理科で答えを言ったときだけだ。当番もシラキだけ抜かされるから、朝の会なんかで話すこともない。
シラキはやっぱりシャベルを持っていた。でも、地面には刺していない。いつも太陽に背中を向けているから、今日も顔には暗く影ができていた。
「シラキ!」
もう一度名前を呼ぶと、シラキは立ち上がった。俺の方が少しだけ背が高くて、でも、視線はあんまり変わらない。
そのままどこか、多分自分ちに、帰ろうとするシラキ。
掴んで引き止めようとしたけれど、シラキが一瞬こっちを見たせいで止まってしまった。はばの広い階段を、シラキが2つ上がった。
視線はシラキのが高い、なによりシラキが遠くなった。
シラキはそこで止まって、こっちを見下ろした。
じっとこっちを見ているから、おれはどうしたらいいかわからずに、にらむみたいに見返した。
「なんだよ」
「…こっちの台詞。きみはなにがしたいの」
誰かにむけたこいつの言葉を聞くのは、たぶんはじめてだった。思わずぎょっとして、それから、シラキと話しているのだ、と思った。
「お、おまえには関係ないだろ!」
「あるよ。」
ぼくにだってやりたいことがある。小さな声で言う。
「なにもしてなかったくせに」
「きみが居るとできないんだ」
「おれお前のジャマしてねーじゃん!」
名前を呼んだだけだ。ずっと。返事もしなかったくせに、ただ呼んでるだけで、ジャマだなんていうのか!
シラキは、すこし考えるように目を逸らしてうつむいて、また、こっちを見た。
「…きみがいると、胸がざわざわする」
だから、だめだ。
無表情から、ほんのすこし、眉間にシワがよった。
おれは、ふと、ちゃんとシラキに関われてたんだと思った。うれしいとか、うれしくないとかじゃなくて、現実に、本当のこととして。
けれど、シラキは、「きみが居ないほうが、いい」と言って、ぷいと公園の外に行った。
おいかけようと、公園の外に出る。
けど、影をひとつ伸ばして歩くシラキを見て、走れば追いついて追い越すことだってできるのに、追いつけないと思った。
おれと同じくらいの大きさの背中には、おおきく影ができて、地面のそれとひとつになっているように見えた。





「ひどいね」

「なにが?」

公園から出てすぐ、ウタが隣を歩く。
「友達でしょ?」
「クラスが同じなだけ」
「でも、彼は友達になりたかったんじゃないの?」
「彼と話してると、胸がざわざわして、つらい。……これ、苛ついてたのかも」
二人の影は、重なることも無く、ひとつ。






なんだこのBL臭… 




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