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創作ごった煮
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トン、と机に置かれた箱に、洗い物から戻ったまちるは視線を向けた。プレッツェルにチョコレートをつけた菓子。そういえば今日は11月11日だった、置いてあるのはポッキーではなくコンビニメーカー製のチョコレートプレッツェルだけれど。
「食べるの?」
「ポッキーゲームしよ。」
「ポッキーゲーム?」
「知ってるでしょ?」
「知ってるけど。」
今さらキスしそうな距離感にドキドキするような間柄ではないと思うのだけど、首を傾げるとウキはわざとらしく「もー」と頬を膨らませた。
「イベント事には積極的に乗っかっていくの!だからはい!咥えて!」
「んむ」
「じゃあいきまーす」
「んー。」
咥えた逆側、チョコレートのついてない部分をウキが口に含む。かり、かりとかじる速度にあわせてこちらからも食べ進む。口を尖らせて視線だけを下に向ける彼女。
ポッキーゲームは、折ったら負けなんだっけ。キスしたら負けなんだっけ。折られたら勝ち?
両端から食べていくというルールは知っていても、そういえば勝ち負けはよく知らない。止まっても負け?そもそも勝ち負けのあるゲームなのかすら定かではない。
かりかりかりと細かく食べ進め、あと数センチまで近寄る。顔がいくら近くなろうと羞恥心はないので、このままキスしてしまってもいいかなあと考えたところでウキが視線を上げた。ウキは睫毛の色素も少し薄い。猫のようないたずらな目つきをして、ふふんと鼻で笑った。ぱきり、とプレッツェルが折れる。口に残ったプレッツェルをもぐもぐと食べ、飲み込んでもウキは顔を離さない。
「キスしたいと思ったでしょお。」
「あわよくば。」
「まちるの負けー。」
「どういうルール?」
「勝負を投げたので負けです。」
「なるほど」
「では第ニ戦。口を開けてくださーい」
「まだやるの?」
「まだ入ってるもの。」
なにが楽しいのかいまいちよくわからないのだけれど、ウキが楽しいならいいか。ぱかり口を開けてプレッツェルを向けられるのを待つ。しかしウキは顔を離さずに、いっそう近づけて唇をあわせた。
しばらくいつものようにちゅっちゅっとキス。ウキはにっこりと笑った。
「ご期待に応えてみました」
「ウキもしたかったんでしょう?」
「んふふ」
「ふふ」
「ふふふー」





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