創作ごった煮
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ぼんやりと、明りが灯っている。
バーバリーの家の地下には、広い書庫があった。幻燈世界の数少ない本や、彼女がいろいろな世界から集めてきた本があるという。
それを、和樹は暗いランタンの光で読んでいた。
和樹がここに来たのは、「異世界の研究」の為である。
それに貢献せねば、と、知らない文献を漁る。論文を読むのには慣れたつもりだったが、ここにある本は、すべてまるでファンタジー小説のようだった。戻ったら、研究チームに文学者を加えてもらわなければ。
ふと、カタンと音がした。
和樹が振り向くと、ドアのところには金髪の少女。アンリだ。
同じようなランタンを片手に、ティーポットやカップを乗せたトレイを持って、にこりと微笑んでいる。
「和樹さん、はかどっていらっしゃいます?朝からずっとでしょう。お茶を入れたんですわ、如何です?」
断るのも悪いし、折角だから。和樹は本を閉じた。
地下室の入り口には、簡素な机と椅子が置いてある。アンリは、そこにトレイを置いた。
「ありがとう、アンリ。頂くよ」
とぽぽ、ゆっくりと紅茶が入る。
ランタンの薄暗い明りで、カップの中は紅茶とは思えない黒色に染まっていた。
アンリが差し出すそれを受け取って、和樹はゆっくりと口をつけた。元の世界の紅茶と、同じ味。
「毎日、ご苦労様ですわね。」
「その為に来たんだから」
いつか戻るときに、沢山の事を持って帰らなければいけない。次に戻れるのは、向こうの世界で3年後だと聞いた。
向こうの世界では3年でも、こちらではいつ終わってしまうかわからない。できるだけ、多くを学ばなくては。
「今日はお勉強日和ですから、きっとよく進みますわ。」
「え?」
「外は大雨でしたわ。お勉強日和、でしょう?」
「へえ」
今日は雨にするとは聞いていなかったが、バーバリーのことは和樹にはわからない。地下でよかったですわね、笑うアンリに笑って答える。
「では、また後で取りに来ますわ。あまり御無理はなさらないように。」
「わざわざありがとう」
「いいえ」
立ち上がって、アンリはランタンを一つ、暗闇に向けた。ギィ、近いはずの扉が遠くで響くように感じる。和樹はゆっくりと紅茶を飲んだ後、また文献を探しに行った。
それなりに時間が過ぎた頃に上に上がると、空はすっきりと晴れていて、外の地面は全く濡れていなかった。
それに貢献せねば、と、知らない文献を漁る。論文を読むのには慣れたつもりだったが、ここにある本は、すべてまるでファンタジー小説のようだった。戻ったら、研究チームに文学者を加えてもらわなければ。
ふと、カタンと音がした。
和樹が振り向くと、ドアのところには金髪の少女。アンリだ。
同じようなランタンを片手に、ティーポットやカップを乗せたトレイを持って、にこりと微笑んでいる。
「和樹さん、はかどっていらっしゃいます?朝からずっとでしょう。お茶を入れたんですわ、如何です?」
断るのも悪いし、折角だから。和樹は本を閉じた。
地下室の入り口には、簡素な机と椅子が置いてある。アンリは、そこにトレイを置いた。
「ありがとう、アンリ。頂くよ」
とぽぽ、ゆっくりと紅茶が入る。
ランタンの薄暗い明りで、カップの中は紅茶とは思えない黒色に染まっていた。
アンリが差し出すそれを受け取って、和樹はゆっくりと口をつけた。元の世界の紅茶と、同じ味。
「毎日、ご苦労様ですわね。」
「その為に来たんだから」
いつか戻るときに、沢山の事を持って帰らなければいけない。次に戻れるのは、向こうの世界で3年後だと聞いた。
向こうの世界では3年でも、こちらではいつ終わってしまうかわからない。できるだけ、多くを学ばなくては。
「今日はお勉強日和ですから、きっとよく進みますわ。」
「え?」
「外は大雨でしたわ。お勉強日和、でしょう?」
「へえ」
今日は雨にするとは聞いていなかったが、バーバリーのことは和樹にはわからない。地下でよかったですわね、笑うアンリに笑って答える。
「では、また後で取りに来ますわ。あまり御無理はなさらないように。」
「わざわざありがとう」
「いいえ」
立ち上がって、アンリはランタンを一つ、暗闇に向けた。ギィ、近いはずの扉が遠くで響くように感じる。和樹はゆっくりと紅茶を飲んだ後、また文献を探しに行った。
それなりに時間が過ぎた頃に上に上がると、空はすっきりと晴れていて、外の地面は全く濡れていなかった。
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